スポーツの前後ですべきストレッチはどんなストレッチ?

ストレッチ

冬場などではハムストリングスの肉離れ対策としてよくストレッチ指導をしている場面に遭遇します。その時、何も考えずとりあえず前屈でハムストリングスをストレッチしている風景をよく目にします。果たしてそれで良いのでしょうか?この記事ではストレッチについての解説を行います。

  • 肉離れにストレッチは効果があるの?

肉離れとは筋が収縮した際に、筋の柔軟性が欠如しているために自己聴力に耐えられず、筋損傷ないし断裂する疾患のことを言います。筋腹の収縮に筋遠位部が伸張され、損傷してしまうということです。

上述した通り、肉離れは筋の柔軟性の低下により生じますので、柔軟性を向上させる効果のあるストレッチは有効であります。問題はそのストレッチのやり方です。

  • ストレッチの種類

ストレッチには動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)と静的ストレッチ(スタティックストレッチ)があります。

・静的ストレッチは主に、ゆっくりと筋を伸張させることで筋の柔軟性を獲得するストレッチです。その作用機序としてはゆっくりと筋を伸張することで筋全体が伸張され、腱も一緒に伸張されます。筋腱移行部の中には筋の緊張をコントロールしてくれるゴルジ腱器官と呼ばれる組織があり、腱の伸張によってそのゴルジ腱器官へ刺激が入り、伸張された筋活動を抑制、拮抗筋活動を促通するという作用があります。いわゆる1b抑制と呼ばれる作用です。これによりストレッチされた筋の活動が抑制され、緊張が緩むことでよりストレッチによる筋の柔軟性が獲得されると考えられます。

・動的ストレッチは筋を反復的に収縮させ、その拮抗筋に対して相反抑制を利用して伸張させるストレッチです。主動作筋が収縮すると、1a群繊維が興奮します。その際、筋収縮がしやすくなるようにその拮抗筋を抑制するように作用する反射が相反抑制になります。この相反抑制を利用したストレッチが動的ストレッチです。

  • 運動前に行うべきストレッチは?

この上記のストレッチのうち、運動前に行うべきストレッチはどちらでしょうか?それは動的ストレッチです。

静的ストレッチは持続伸張によりゴルジ腱器官による同筋抑制がかかり、筋肉の緊張が下がりストレッチの効果が上がることは説明させてもらった通りです。ここで問題となることが筋肉の緊張が1b抑制によって下がってしまうということです。筋の緊張が下がるということはそれだけ収縮時の筋出力が下がり、つまり運動パフォーマンスが下がることを意味します。

確かに運動に必要な柔軟性は獲得されるかもしれませんが、筋出力が下がります。筋出力が低下した状態で過度な運動負荷が要求されると、それが怪我につながってしまう可能性があります。そもそも運動パフォーマンスが低下するため運動前に適した運動とは言えません。

対して動的ストレッチでは筋肉の収縮を利用し、その相反抑制を利用して柔軟性を獲得するものになります。そのため、筋収縮に伴う筋ポンプの作用もあり筋の血流が良くなり、1a繊維も活性化されます。そのため筋出力も低下させることなく柔軟性の獲得ができますので、運動前のストレッチとしては最適と言えます。

ただし、運動後には静的ストレッチの方が最適と言えます。運動後は筋疲労により筋緊張も上がっている状態です。そのため、1b抑制により筋肉の緊張を抑制しリラックスすることで筋肉の疲労が改善される可能性があります。

  • まとめ

運動前に行うべきストレッチについて解説させていただきました。運動前にはストレッチした筋肉を抑制してしまう静的ストレッチよりも、動的ストレッチで筋出力を低下させずに柔軟性を獲得するべきです。しかし、現在この考え方があまり現場まで浸透していないのが現状です。もし現場で指導することがあれば、ぜひ根拠を持ってよりパフォーマンスが良くなるように指導してあげてください。

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