前鋸筋の共同筋は?体幹部に注目しよう!

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肩関節運動を見ていく上で前鋸筋は非常に重要な筋肉の一つです。肩甲上腕リズムにおける上方回旋は前鋸筋の働きによるものになります。この前鋸筋の働きを高めるために体幹部の機能も重要になります。この点を解説していきます。

  • なぜ前鋸筋の働きが重要なのか?

前鋸筋は第1〜9肋骨外側面を起始とし、肩甲骨内側縁と下角に付着することで、収縮すると肩甲骨を胸郭に押し付ける働きをします。その際に関節窩を上方に向ける上方回旋の動きをします。こうすることで関節窩が上を向き、肩甲上腕リズムの働きを補助します。

ここで重要なことが肩甲骨を胸郭へ固定する動きです。この固定する動きがしっかりしていることで三角筋をはじめとした上腕筋の働きが良くなり、肩の動きが円滑になります。いわゆる土台の筋肉として働く筋肉ということです。

家で例えますと、土台がしっかりとしていないのに柱を立てるとどうなるでしょうか?土台から崩れますよね?人間も同じです。硬い地面と柔らかい地面、より高くジャンプできるのはどちらの地面でしょうか?固く安定した地面だと思います。上腕の三角筋や腱板筋群がしっかりと働くためには、土台となる肩甲骨がしっかりと固定されている必要があります。その土台として前鋸筋がしっかりと働くわけです。

  • 前鋸筋の土台となる筋肉は?

上腕筋の土台は肩甲骨で、それを支えるのが前鋸筋です。では、前鋸筋の土台となるのはどの筋肉なのでしょうか?ズバリ、外腹斜筋が重要となります。

外腹斜筋は第5〜12肋骨外側面から腸骨稜・鼠径靭帯・白線に付着します。前鋸筋とは起始部が重なっている部分がありますね。このように直接的な連結もあります。外腹斜筋の働きは、体幹を体側へ回旋させることですね。右外腹斜筋が収縮すると体幹は左回旋します。この回旋作用が前鋸筋にとってとても重要となります。

前鋸筋は収縮することで肩甲骨を前外方へ引っ張り、胸郭へ固定します。この時、肩甲骨から見たら前外方ですが、体幹から見たらどうなるでしょうか?リバースアクションで考えると、体幹は同側回旋する方向に引っ張られます。右前鋸筋であれば、体幹を右回旋させるモーメントが働くということです。

では右外腹斜筋の働きを思い出してください。体幹を左回旋させますね?前鋸筋と体幹部で見れば拮抗関係になります。つまり、前鋸筋が働くことで体幹に右回旋のモーメントが働きますが、外腹斜筋がこの時に働いてくれることで前鋸筋の同側回旋モーメントに対抗してくれます。この対抗する動きによって体幹が安定するのです。つまり、腕にとって前鋸筋に固定された肩甲骨が土台となりますが、その肩甲骨と前鋸筋にとっては外腹斜筋が固定した体幹が土台となるわけです。

  • どんな時に外腹斜筋の評価をすべき?

とはいえ肩の患者さんに対して、いきなり外腹斜筋トレーニングを指導したらほぼ100%戸惑います。一見肩と関係ないのだから当然ですね。ではどのような患者さんに対して外腹斜筋へのアプローチをすべきでしょうか?

特に特筆すべきは他動では問題ないのに自動運動で可動域制限を呈する症例です。他動では問題ない=可動域制限はない、自動では他動ほど動かせない=筋出力に問題がある、この構図が成り立ちます。この時、特に体幹の回旋可動域や胸郭の硬さがある患者さんの場合、外腹斜筋を考慮してみてください。

もちろん上記の場合に全て外腹斜筋だけで解決するわけではありません。しかし、外腹斜筋という土台が不安定であるために上位体幹の筋出力が低下し、自動運動の制限になっている可能性があります。

  • まとめ

外腹斜筋は一見型とは関係ないように思われますが、前鋸筋との筋連結や体幹に及ぼすモーメントを考慮すると頭の片隅に置いておくべき筋肉の一つです。自動運動の制限で困っている患者さんがいれば、一度試してみてください。

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