肩関節周囲炎への介入~烏口上腕靭帯に着目して~

リハビリテーション

【はじめに】

肩関節周囲炎の発生要因は多岐に渡り、原因追求のための様々な評価を必要とします。そのため、病期などの病態に関する知識は絶対的に必要とされます。今回紹介をした知識はそのなかでもほんの一部になりますが、今後の臨床への一手助けになればと思います。

【肩関節周囲炎の病期分類】

病期分類については炎症期(Freezing phase)が約10週~9ヵ月間で、拘縮期(Frozen phase)が約4~12ヵ月間、回復期(Thawing phase)が約5カ月~2年であるといわれています。各Phaseで大きな幅があり、回復には個人差が強くみられます。これは後述する病態の重症度により変化していきます。

【肩関節周囲炎の発生要因】

  • 外的・内的要因による腱板への小外傷

 円背などの不良姿勢や、重労働などの肩関節への負担がかかる状況の慢性化による腱板への負担が増加している状態です。

  • 滑膜炎の出現

 肩甲上腕関節での肩峰下滑液包と棘上筋腱でのインピンジメントなどの現象により、滑膜炎が出現します。

  • 運動制限へ

 腱板疎部や関節包の線維化による肩甲上腕関節での運動制限へと発展していきます。

【肩関節周囲炎の病態】

肩関節周囲炎の病態として

  • 腱板疎部の関節包及び烏口上腕靭帯の線維化
  • 前上方関節包にタイプⅢコラーゲンが出現

③ 線維化を促進する成長因子(TGF-βなど)の存在

などが挙げられます。

【肩関節周囲炎と烏口上腕靭帯の関係性】

烏口上腕靭帯には脂肪組織や神経・血管が豊富に存在しており、炎症の波及や疼痛の感受性が高い組織のため、瘢痕による可動域制限が発生しやすいです。特に烏口上腕靭帯の線維化と外旋制限及び挙上制限には強い相関があるといわれています。

【烏口上腕靭帯の解剖学的情報】

  • 走行

烏口突起背側基部から起こり、棘上筋最前部停止部から肩甲下筋腱最突出部停止部にかけて付着しています。

  • 組成

疎性結合組織:柔軟性に富むという特徴があります。

  • 役割

上腕骨骨頭の下方脱臼を防止するという報告や、上腕骨の回旋運動におけるブレーキとなるなどの作用があるといわれています。

【烏口上腕靭帯の評価】

烏口上腕靭帯に問題がある場合、理学所見では1st外旋角度が23.8°(±10.6)、肩関節屈曲が117.5°(±45.6)、肩関節外転が90°(±48.4)になりやすいといわれています。画像所見ではMRI上で烏口上腕靭帯の肥厚がみられ、厚さは正常が3.1mm(±0.3)で、疾患群で4.7mm(±1.8)になりやすいといわれています。

【烏口上腕靭帯へのアプローチ方法】

①他動運動で最大外旋位まで動かし烏口上腕靭帯に対してストレッチをかけます。

②肩甲下筋の収縮を利用して、内旋をアクティブで行わせます。

※始めから最大外旋位まで動かすと疼痛を伴うことが多いため、まずは可能な範囲での外旋位からの内旋運動をおこなっていきます。

まとめ

烏口上腕靭帯の線維化が進行するにつれて重症度は悪化しやすいといわれています。これはもともとの原因が腱板疎部であり、密接に関わっている組織であるからです。早期治療のためにも烏口上腕靭帯への評価及び治療は見落とさないようにしましょう。

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