脛骨大腿関節の屈曲ROM拡大のポイントを解説!

リハビリテーション

脛骨大腿関節の屈曲ROM制限は臨床でも多くみられる問題です。

以前若いPTからこのような相談を受けました。

「凹凸の法則に従ってROMを行なっているがなかなか効果が出ない」

それには理由がありますので、それを解説していきます。

脛骨大腿関節の構造

脛骨大腿関節は大腿骨が凸、脛骨が凹の関係になっています。

蝶番関節であるため屈伸の動きのみと思われがちではありますが屈伸に回旋を伴います。

脛骨の形状としては、内側顆がやや凹みが大きく、外側顆の関節面が凹みというよりもやや平面に近くなっています。

加えて、内側顆と外側顆の関節面を比較すると内側顆の関節面の方が長くなっているのです。凹みも大きく、関節面も長いということはそれだけ内側顆の方がより安定性が高くなります。

右側の脛骨・腓骨を前方から観察した図

そのため、膝の屈伸の際に内側が軸となる回旋運動が生じます

伸展の際には大腿骨は脛骨の上を転がります。上述した通り、外側顆の方が大きく動くわけですから、大腿骨としては内旋の動きが大きくなります。脛骨側からしたら外旋ですね。この動きがいわゆるスクリューホームムーブメントです。

上述した若いPTはこのスクリューホームムーブメントが理解できていませんでした。

これは脛骨大腿関節の構造の問題なので、凹凸の法則だけでは測れない動きになります。ROMの際には凹凸の法則だけでなく、各関節の構造まで考えるとより効果が出ます。

靭帯の働き

骨の構造については上述した通りです。脛骨大腿関節にはもう一つ大きな問題があります。それが靭帯です。

屈伸の際に大きな問題となるのが前十字靭帯(以下ACL)と後十字靭帯(PCL)です。

それぞれの働きとしては

  • ACL=脛骨の前方への動きの制動
  • PCL=脛骨の後方への動きの制動
右側の脛骨大腿関節を前方から見た図(左:屈伸なし、右:屈曲位)
では、どうしてこれらが問題となるのでしょうか。 

特に問題となるのがPCLです。

PCLは大腿骨から脛骨後方にかけて付着しており、脛骨が後方へ引き込まれると緊張して脛骨の動きを制動します。

ここで凹凸の法則を思い出してください。

脛骨大腿関節の屈曲の際、脛骨は大腿骨の後方へ転がり、凹側なので滑りも同じ方向へ動きます。

つまり、膝の屈曲はPCLの緊張を生みます。PCLは脛骨の後方への動きを制動しますので、屈曲の際の制限因子となります。

そのため、屈曲の際にPCLが緊張してくると、脛骨は後方へ動くことができなくなります。その結果、PCLが緊張した後に脛骨は実は前方へ引き出される動きをするのです。これをロールバック機構と呼びます。

ロールバック機構
 膝が曲がる→PCLが緊張する→脛骨が前方に引き出される(大腿骨が後方に引っ張られる)

このロールバックがどのような結果を生むのでしょうか。

屈曲の際、凹凸の法則だけで言えば膝関節前方の筋肉、靭帯、関節包むが制限因子となります。しかし、脛骨大腿関節に限って言えば屈曲最終域では前方へ引き出されるのです。

脛骨が前方へ引き出されるということは、後方の筋肉、つまり膝窩筋や後方関節包が制限因子となるのです。

前述した若いPTは前方の筋肉、つまり大腿四頭筋のストレッチばかりに目がいってしまい、膝窩筋や後方関節包に関してはノータッチでした。

やはり凹凸の法則ばかりに目がいってしまい、関節の構造や靭帯の働きに関しては考えが及んでいなかったためです。

脛骨大腿関節に関しては構造・靭帯の問題から屈曲の際に少し考え方を変えなければなりません。

脛骨を内旋しつつ、後方ではなく前方へ引き出しながら屈曲ROMを行なってください。

スクリューホームムーブメントとロールバック機構を考えるとこのようにROMを行うと良い効果が期待できます。

まとめ

ROMを行う際には確かに凹凸の法則に従うことは重要なことです。しかし、各関節には骨だけでなく、靭帯や関節方もあれば、関節によって構造も違います。そのため、解剖学がとても重要になってくるのです。

脛骨大腿関節に限らず、各関節の構造や特徴を考え、闇雲にストレッチするのでなく効率の良いROMを心がけてください。

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