腰椎すべり症に対しての理学療法のポイントを解説!

リハビリテーション

腰椎すべり症とはその名前の通り腰椎が通常よりも滑っている状態の疾患です。その腰椎すべり症に対しての理学療法をどうしていくべきか、疾患の特徴から解説していきます。

腰椎すべり症とは?

腰椎は生理的に前弯しており、常に前方へすべり圧力がかかっています。この圧力に腰椎が耐えられなくなった時に前弯が崩れてしまった状態を腰椎すべり症と呼びます。好発部位は特に立位姿勢で圧力がかかりやすい第4・5腰椎に多く発症します。また、腰椎すべり症はその滑る過程において2つの分類があります。

  • 腰椎分離すべり症

腰椎分離すべり症とは、まず分離症が生じることで発症します。分離症によって腰椎は後方で椎弓の分離が生じてしまい、腰椎としての安定性が損なわれてしまいます。関節性の支持性が失われてしまうと前方へのせん断力が大きくなってしまい、結果として前方へ滑ってしまいやすくなります。こうしてすべり症へと移行してしまったものを腰椎分離滑り症と呼びます。

  • 腰椎変性すべり症

腰椎も他の関節と同じように、加齢などによって変形が生じていきます。その変形によって椎間関節や椎間板、靭帯の支持性が損なわれていきます。このように椎体に関わる組織のなんらかの原因による編成からすべり症が生じるものを、腰椎編成すべり症と呼びます。

腰椎すべり症の症状

腰椎が前方へ滑ることで、後方にある脊柱管もずれてしまい、ずれた腰椎の後方にある脊柱管の圧迫が生じます。これによる神経症状が腰椎すべり症の症状として現れます。そのため、脊柱管狭窄症との鑑別が重要になります。間欠性跛行や疼痛・痺れ、重度症例では膀胱直腸障害など腰部脊柱管狭窄症とほぼ同じような症状が生じます。臨床所見だけで鑑別することは困難であるため、レントゲンやMRIなどの画像診断を加味し、すべり症と脊柱管狭窄症を鑑別するようにしましょう。

腰椎すべり症に対しての理学療法のポイント

脊柱管狭窄症との鑑別が重要と述べましたが、それはなぜでしょうか?脊柱管狭窄症では脊柱管の狭窄する原因はよくわかっていませんが、腰椎すべり症の脊柱管狭窄では腰椎が滑っていること、つまり腰椎の不安定症を伴っていることが大きな原因となります。

そのため、例えば脊柱管狭窄症と同じような症状があるからといって腰椎を屈曲するような運動を繰り返すと腰椎の不安定性からすべり症の症状を悪化させかねません。そのため、すべり症のポイントを絞ってアプローチしていく必要があります。

腰椎すべり症では腰椎の前方すべりが大きなポイントとなります。この腰椎の前方すべりを助長する筋肉が大腰筋です。大腰筋は第1〜4腰椎に付着し、大腿骨の小転子に付着することで股関節の屈曲に働きますが、大腿骨を固定した時にはリバースアクションによって腰椎を股関節屈曲方向に引っ張ります。まさに、腰椎すべり症を助長する方向に働いてしまうのです。

※名倉武雄et al 生体力学モデルによる大腰筋の機能解析 バイオメカニクス学会誌 vol24 No3 2000より引用

上記の図は大腰筋が働いた場合に腰椎に及ぼすモーメントを示しています。腰椎に対して主には圧迫力、次いで前方への剪断力がかかっていることがわかります。

腰椎すべり症患者では原因は様々ですが、この大腰筋に緊張が見られていることが多々あります。大腰筋が緊張、もしくは短縮してしまうことで腰椎の前方すべりを助長していますのです。

そのため、大腰筋の筋緊張を整えるアプローチが腰椎すべり症患者では有効になることが多いです。ただし、注意が必要なことは大腰筋のストレッチは絶対に禁忌です。腰椎を引っ張っている大腰筋の緊張を落としたいのに、ストレッチをかけたら余計に腰椎を引っ張ってしまうことは想像しやすいかと思います。そのためダイレクトストレッチで緊張を落としたのち、コントラクトリラックスなどの手技を用いて緊張を落としていくことをお勧めします。

大腰筋の緊張を落とした後、腰椎の不安定性に対してのアプローチを行いましょう。多くは腹横筋を中心とした体幹の筋出力を高めていくことが中心になってくると思います。ここから先は患者さんによって変わってくるため、その患者さんに合った腰椎不安定症に対してのアプローチを行いましょう。

まとめ

腰椎すべり症に対してのアプローチ方法について解説しました。腰椎すべり症は臨床で多く遭遇する疾患で、脊柱管狭窄症と混同しやすい疾患です。画像でしっかりと鑑別し、大腰筋の緊張を取り除くようなアプローチを行うことで患者さんを楽にさせてあげてくださいね。

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