腸腰筋の屈曲以外の作用について解説!

リハビリテーション

腸腰筋の屈曲以外の作用について解説!

股関節屈筋としてまず第一に頭に上がるのは腸腰筋だと思います。

腸骨筋と大腰筋合わせて腸腰筋と呼びますが、学生時代にはこの2つの筋肉を分けて考える必要性について全く考慮していませんでした。この記事でそれらの違い、考え方について説明します。

腸骨筋と大腰筋の特徴、作用

腸骨筋は寛骨窩と下前腸骨棘から大腿骨小転子にかけて付着します。収縮すると大腿骨が寛骨に近づく形になりますので、股関節の屈曲に作用します。

大腰筋は第1〜4腰椎横突起から大腿骨小転子にかけて付着し、同じように股関節の屈曲に作用します。

この2つの筋肉は鼠径靭帯付近で合流し、共同腱として小転子に付着しますので、同じように股関節屈曲に働くと考えていました。

しかし、よくよく考えてみてください。

起始に違いがあります。
付着部が同様でも起始に違いがあるため、実はわずかながら違う作用を持ちます。

腸骨筋は、寛骨窩と下前腸骨棘から小転子に向かって内側に向かって走行します。股関節の運動軸としては、外側から内側に向かって走るので、屈曲とともに外転の作用を持ちます。

また、水平面で見れば運動軸の前から後ろにかけてついているため外旋作用になります。

また、リバースアクションで考えると大腿骨に対して寛骨を前傾させる形になり、寛骨と大腿骨の安定性に関して大きく作用します。

一方、大腰筋では第1〜4腰椎横突起から大腿骨小転子に向かって、つまり股関節運動軸の内側を縦に走行する形になります。運動軸の内側で屈曲する作用になりますので、前額面の運動で見れば内転に作用します。水平面上では腸骨筋と同様、外旋作用になります。

また、リバースアクションで考えれば大腿骨に対して腰椎を近づける形になりますので、腰椎に対して大腿骨の安定性を出すような働きをします。

このように矢状面で見れば両筋とも股関節の屈曲に作用しますが、前額面の作用で考えれば腸骨筋は外転、大腰筋は内転と真逆の作用を持ちます。

さらに、大腿骨と寛骨、腰椎と安定化させる作用は全く違うため触るべきポイントが変わってきます。

触り分けの例

腸骨筋は股関節の安定化筋として重要ですが、その姿勢によって働く筋が変わってきます。

例えば、右股関節内転、左股関節外転位で休めの姿勢をしている患者がいるとします。その患者ではほとんどの場合、右臀部を側方にSwayさせ、右股関節外側組織の遠心性支持に頼った立位姿勢となります。

この場合、右股関節が内転、左が外転であるため、右は大腰筋、左は腸骨筋が短縮位になり緊張しやすくなります。

このような姿勢を矯正する場合、右大腰筋のストレッチ左腸骨筋のストレッチを選択的に行った上で右中臀筋の求心性収縮を入れていくことが重要となります。

このように、股関節の屈筋をストレッチする場合には内外転も考慮すると結果が出やすくなります。わずかですが走行が違うので、闇雲に股関節を伸展させるよりも前額面上の走行も考慮してからストレッチをかけてみてください。

それぞれの筋肉への選択的ストレッチの方法

・腸骨筋

腸骨筋は運動軸の外側から内側に向かって走行しているため、前額面で見れば外転の作用があり、水平面で見れば外旋の作用を持ちます。つまり、単純に進展をするよりも股関節内転、内旋させながら伸展させるとよりストレッチがかかります。

・大腰筋

大腰筋は股関節運動軸の内側を縦に走行しているため、前額面で見れば内転、水平面で見れば外旋の作用を持ちます。つまり、股関節の伸展に加え、外転・内旋を組み合わせてストレッチを行うことでより効果的にストレッチをかけることが可能です。

まとめ

腸骨筋と大腰筋の働きの違いについて解説しました。矢状面だけで考えれば同じ屈筋群ですが、前額面の動きではそれぞれが拮抗関係にあります。MMTなどの教科書に載っているような単純な作用以外にも走行を考えて治療すればアプローチの幅も広がりますので、参考にしてみてください。

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