非対称性緊張性頸反射(ATNR)について

小児学

非対称性緊張性頸反射(ATNR)について

出生して間もない時期から見られる反射に原始反射というものがありますが、その中に非対称性緊張性頸反射(Asymmetrical Tonic Neck Reflex;以下ATNR)があります。

この反射は赤ちゃんの成長とともに統合され消失していく反射なのですが、実際に目にしてみないとイメージしにくい反射だと思います。

そこで今回は非対称性緊張性頸反射(ATNR)について分かりやすく説明していきたいと思います。

非対称性緊張性頸反射(ATNR)は発達に大きく影響している

非対称性緊張性頸反射(ATNR)とはその名前の通り、身体を中心から左右半分に分けたときに左右の上肢・下肢が別の動きをしてしまう反射のことです。

ざっくり言うと

頭部が側方を向くと、その向いた方の上肢と下肢は伸展し向いていない方向の上肢と下肢は屈曲する。

です。逆を向くと、四肢の伸展と屈曲が逆転します。

文章で表現するとわかりにくいので図で見てもらうと以下のようになります

青線:頭部の向きと反対側は屈曲
赤線:頭部の向いている側は伸展

この反射は、出生直後から見られ始める反射ではなくお母さんのお腹の中にいるときから出現する反射で、在胎18週ごろから出現し生後4ヶ月ごろに徐々に消失していきます。

なぜ在胎期間中に反射が見られるのかというと、無意識に身体運動が起こることで身体運動が発達しやすくなるためです。

ATNRがあるおかげでお母さんのお腹の中にいる時から、上肢や下肢を子宮内で無意識に活発に動かすことが出来るようになり、お腹を胎内から触ったり蹴ったりすることが出来るというわけです。

お腹の中にいるときは、羊水により上手く動くことが出来ないので、ATNRを始めとした胎内にいるときから見られる原始反射により半ば強制的に動くことで、身体の動かし方を学習していきます。

このように出生前から身体を動かすことで、出生後の重力のかかった環境においても反射的に身体を動かすことが出来るようになります。

生後4ヶ月ごろにこの反射は消失していくのですが、これは定頸とともに頭部の動きが活発になって意識的に四肢を動かす必要性が出てくるからです。ATNRによる四肢の動きが不要になるともいえます。

ATNRが残るとどうなってしまうのか?

この反射は消失してかないと発達に悪影響が出てしまいます。

理由は、4ヶ月を過ぎる頃になると寝返りが始まるからです。寝返りは顔を向けた方の上肢が伸びていると難しいですからね。

寝返りが出来ないと、次の段階である起き上がりも出来なくなるなど連鎖的に発達が阻害されます。

ATNRは初期の運動発達には欠かせませんが、残ることで無意識に一方向ばかり向くことがいつの間にか習慣化してしまい、左右の身体のバランスが崩れ変形・側弯が発生・進行してしまうリスクが高くなります。

まとめ

このようにATNRは頭部の動きによって左右の身体が別々の動きをしてしまう無意識の反射です。

顔が向いたほうの上肢と下肢が伸展(突っ張る)、向いていない方の上肢と下肢が屈曲(曲がる)します。

また、頭部のコントロールが可能になってくる3~4ヶ月に次第に消失してきます。

ATNRが残ることで左右身体のバランスが悪くなってしまうので、リハビリテーションではしっかりと正中(身体の中心)を意識し、両手動作を促すことで原始反射の影響を少なくすることが大切になります。

しっかり理解できるようにしていきましょう!

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