SLRとラセーグテストに違いについて

ストレッチ

以前学生指導をしていた時に、腰椎椎間板ヘルニアに対しての整形外科検査を質問すると

SLRテストとラセーグテストは同じですか?

という返答が返ってきました。

この記事ではその違いについて説明していきたいと思います。

SLRテストとラセーグテストの違いとは?

この違いを説明できる人はいるでしょうか?
このような書き方をすると非常に意地悪ですが、この2つのテストに違いはありません。
多くの人が勘違いしている部分かと思いますが、違いがあるのは「ラセーグテスト」ではなく「ラセーグ兆候」であるということです。

SLRテスト、ラセーグテストともに患者を背臥位にし、下肢を伸展、挙上することで痛みを誘発させる手技です。

原理としては例えば腰椎椎間板ヘルニアにおいて、L4以下の神経を髄核が圧迫し、神経が過剰に興奮状態になっているとします。そのような神経に対して下肢を伸展・挙上するような伸長ストレスを与えることで神経由来の痛みを誘発するというテストです。

検査する神経はL4レベル以下、つまり坐骨神経です。SLRで陽性であれば、その患者は「坐骨神経痛」が疑われるということになります。

このテストはPTのみでなく、医師も多用するとても有用なテストで、腰椎椎間板ヘルニアに対して感度が0.8、特異度が0.5であったとされています。

このようにSLR・ラセーグテストは腰椎椎間板ヘルニア由来の坐骨神経痛を誘発し、腰椎椎間板ヘルニアを診断するための簡易テストとして有用です。 

ラセーグ兆候とは?

図aが第1手技、bが第2手技

多くの人が勘違いしていると思われますが、SLRテスト=ラセーグテストではありますが、SLRテスト=ラセーグ兆候ではありません。

ではラセーグ兆候とはなんでしょうか?

SLRテストでは下肢を伸展・挙上することで坐骨神経を伸長し、坐骨神経痛を誘発しています。

ラセーグ兆候を見る検査では患者は背臥位のまま、股関節の屈曲の際に膝関節も屈曲するというテストです。もしこれで痛みの減弱が得られれば、ラセーグ兆候陽性ということになります。

実は本来のラセーグテストは下肢の挙上の際、膝を伸展する第1手技と膝を屈曲する第2手技があったのですが、いつの間にかそれらが混在してしまうということが起きてしまいました。

この第1手技がいわゆるSLRテストと同一のもので、第2手技がラセーグ兆候といわれます。ではこの違いは何でしょうか?
※上記の図aが第1手技、bが第2手技

大きく違う点は膝が伸展していることで、ハムストリングスが伸長されるということです。

ハムストリングスの伸長は同時に筋膜連結のある臀部の筋の伸長も引き起こします。つまり、坐骨神経痛でも臀部の筋の圧迫の要素を取り除くということになります。

SLRテストで陽性であり、ラセーグ兆候も陽性であれば臀部の筋由来の坐骨神経痛は否定され、より腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高まるということになります。

この違いを理解しておくことで、すぐにMRIなどの精密検査ができない現場でもより原因を特定した対処が可能になります。

より深く腰椎椎間板ヘルニアを診断するためには?

SLRテストとラセーグ兆候によって腰椎椎間板ヘルニアだと診断できる可能性は上述しました。

しかし、どの部位のヘルニアなのか、そもそも中心性か神経根性かの診断はこれらのテストだけでは難しいものです。そのため、詳しく診断するためにはその他の検査も必要になります。

代表的なものであれば腱反射です。膝蓋腱反射であればL4、アキレス腱反射であればL5レベルの検査が可能です。また、デルマトームに沿った部分の知覚検査、筋力検査でも同様にヘルニアのレベルを推定することができます。

これらの検査と、MRIのような画像での精密検査を組み合わせることでより詳細な診断が可能です。

PTが実際に診断をするわけではありませんが、Drの診察結果や画像の意味を知るということはカンファレンスや実施報告書を書く際にも重要になりますので、しっかりと知っておきましょう。

まとめ

SLRテストとラセーグ兆候についてまとめました。多くの文献でもこれらは混同されていますが、ラセーグテストの原点を知っていれば坐骨神経痛の判断に有効です。ぜひ実践で試してみてください。

参考にしたテキスト

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